世界のパデルの支出は何に使われている?(67%がコート代)

FIPと調査会社OpenEconomicsは、パデルの支出を「コートを借りる」「コートを作る」「道具を買う」「大会を開く」の4つに分けて推計しています。コートを作る費用は、現地の工事に払う分と、ガラスや人工芝などを作るメーカーに払う分の2つに分かれています(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

支出の内訳(2026年の推計) 金額 全体に占める割合
コートの利用料45億9,690万ユーロ67.2%
一般のプレーヤーの道具代8億3,700万ユーロ12.2%
コートの建設(現地の工事)7億4,620万ユーロ10.9%
コートの建設(資材のメーカー)5億6,580万ユーロ8.3%
プロの大会の運営9,670万ユーロ1.4%
合計68億4,260万ユーロ100%

コートの利用料は、道具代の5倍以上になります。FIPはレポートで、パデルのお金を動かしているのは毎日のコートの利用で、メディアに映るプロの大会は経済の中ではいちばん小さな部分だと書いています。大会運営の9,670万ユーロは、Premier Padel、CUPRA FIPツアー、FIP World Cupの2026年の259大会分です(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

コート代はどうやって数えた?(コート数×利用時間×料金)

コートの利用料は、各国で使われているコートの数に、平均の利用時間と、その国の1時間あたりの料金をかけて計算しています。対象はFIPが調べた191の国と地域で、利用料はコートがある国の支出として数えています(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

道具代の8億3,700万ユーロは、ラケット・ボール・ウェアの合計です。このうち6億6,880万ユーロは2025年時点の定期的なプレーヤー2,170万人、1億6,820万ユーロは2026年に新しく始める550万人が使う分と推計されています。たまにしかプレーしない人は数に入っていません(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

一方で、調査に入っていないお金もあります。FIPのレポートは、クラブの会費、レッスン、テレビの放映権、スポーツ観光を対象外とし、「推計は控えめな数字だ」と書いています。Padel Magazineは、スポンサー契約や観客が大会で使うお金も含まれていないと補足し、45億9,690万ユーロはクラブ全体の売り上げではないと注意を促しています(FIP World Padel Report 2026(PDF)、Padel Magazine)。

国ごとに見るとどう違う?(イタリアはコート代でスペインを上回る)

国ごとの支出の合計は、スペインが11億930万ユーロで最も多く、世界全体の16.2%を占めます。ただし、コートの利用料だけを比べると、イタリアの6億1,880万ユーロがスペインの6億500万ユーロを上回ります(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

順位 国 支出の合計 うちコートの利用料 利用料の割合
1スペイン11億930万ユーロ6億500万ユーロ54.5%
2イタリア8億1,040万ユーロ6億1,880万ユーロ76.4%
3フランス4億710万ユーロ2億8,010万ユーロ68.8%
4英国3億4,260万ユーロ2億1,760万ユーロ63.5%
5アルゼンチン3億1,100万ユーロ2億2,930万ユーロ73.7%
6オランダ2億9,810万ユーロ1億9,550万ユーロ65.6%
7スウェーデン2億7,540万ユーロ2億5,110万ユーロ91.2%
8ドイツ2億5,740万ユーロ1億1,710万ユーロ45.5%
9インドネシア2億3,200万ユーロ1億4,560万ユーロ62.8%
10ベルギー1億9,930万ユーロ1億5,190万ユーロ76.2%

※金額はFIPのレポートの表(上位20か国)から。利用料の割合は編集部が計算しました。

スペインの合計には、コートの資材を作るメーカーへの支出2億6,310万ユーロが含まれています。FIPは、コートの建設費の一部は材料を作る国の支出になるため、ドイツは工事の多い国として、スペインは資材を作る国として上位に入ると説明しています。スウェーデンは支出の9割以上がコートの利用料で、コートの建設(現地の工事)への支出は570万ユーロです(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

英国の1時間あたりのコート料金については、英国の専門メディアが地域ごとの差を調べています(英国のパデル料金の記事)。コート代の推計は、こうした料金と利用時間の積み重ねです。

日本の数字は?(国内の支出は430万ユーロ)

FIPのレポートには、日本の数字も載っています。日本国内でのパデルの支出は430万ユーロと推計されています。一方、この支出をきっかけに日本で生まれるGDP(経済の付加価値)は1億1,820万ユーロとされ、国内の支出を大きく上回っています(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

日本の項目(2026年の推計) 金額
国内でのパデルの支出430万ユーロ
日本で生まれるGDP1億1,820万ユーロ
うち、働いた人の収入が使われて生まれる分1億300万ユーロ
支出と取引先への波及だけで見たGDP1,510万ユーロ

ただし、FIPはこの差を、モデルの計算方法によるものと説明しています。FIPのモデルでは、働いた人の収入が使われて生まれる効果を、世界の消費の構造に合わせて各国に割り振ります。FIPは米国や中国のGDPが大きく出る理由として「パデルの活動がその国に移ったわけではない」と書き、日本も同じ形だと説明しています。支出とその取引先への波及だけで見ると、日本のGDPは1,510万ユーロです(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

コートが増えれば、クラブの収入も増える?

Padel Magazineは、コートの数が増えることと、クラブの収入が増えることは同じではないと指摘しています。1面あたりの収入は、料金、貸し出せる時間、どれだけ埋まっているかで決まり、同じ数のコートを持つクラブでも結果は大きく変わるといいます。同じ地域にコートが急に増え、プレーする人の増え方が追いつかなければ、クラブ同士の競争が激しくなるとも書いています。FIPの推計からは、クラブの利益率は分からないとも補足しています(Padel Magazine)。

FIPのレポートによると、2026年には世界で新しいコートが1万4,618面できる見込みです。コートの数と同時に、そのコートで何時間プレーされるかが、パデルのお金の大部分を決めていることが今回の調査で数字になりました(FIP World Padel Report 2026(PDF))。

自分で確かめるには?

レポートはFIPの発表ページから読めます。経済調査は「World Padel Impact 2026」の章(70〜74ページ)に、支出の内訳と国ごとの表があります。ヨーロッパのどこでコートが増えたかは欧州のパデルコートの記事で紹介しています。近くのコートで1時間プレーするとき、その料金が世界の推計の一部になっていると思うと、いつもの予約も少し違って見えてきます。

出典