事実:フランスの大会数と出場者数

フランスでは、パデルの大会もフランステニス連盟(FFT)が管轄しています。大会には「P25」から「P1000」、さらに上の「P2000」「P3000」までの区分があり、数字が大きいほど上のレベルの大会として位置づけられています。

Padel Magazineが紹介したFFTの最新データは次のとおりです。

項目 数字
前シーズンの大会承認件数約4万7,000件
大会数5万以上
1回以上大会に出た男性15万1,000人
1回以上大会に出た女性2万2,000人
合計約17万3,000人

1件の承認で最大3つの種目(部門)を行えるため、承認件数と大会数は一致しません。

ほかにも、記事では次の事実が示されています。

  • 1年に300以上の大会を開くクラブもある
  • FFTは2026-2027年シーズンに、P1000を男子175大会・女子50大会の計225大会予定している
  • 以前は年に数回だったP1000が、月1回ほど、週1回ほどと増え、今では同じ週に4〜5大会開かれることもある
  • P2000とP3000は、大会のレベルを保つために数が制限されている
  • FIP World Padel Report 2025によると、イタリアの市場は初期の成長のあとに落ち着く段階に入り、スウェーデンは2020年前後の急拡大の影響をまだ吸収しきれていない

施設「WinWin Padel Manosque」の運営者マテオ・カイユさんは、周辺でP25〜P100の大会の参加者が減っていると話しています。ただし筆者自身も、こうした地域の観察だけでは、全国で参加者が減っているとは言えないと書いています。

筆者の見方:「やめたら客が隣に行く」という悪循環

ここからは、ビニスティさんの意見です。

筆者がいちばんの問題と考えるのは、クラブが大会を減らしたくても減らせない仕組みです。あるクラブが大会を減らすと、大会を続ける近くのクラブに客を取られるおそれがあります。そのため、どのクラブも大会を続け、なかには客を集めるために大会をさらに増やすクラブも出てきます。クラブ全体としては大会を減らしたほうがよくても、自分が先に減らすのは損になる、という考え方です。

筆者はほかにも、次のような心配を挙げています。

  • 近い時期に同じ区分の大会が重なり、参加者を取り合う。同じP1000でも、出場者のレベルに大きな差が出る
  • 審判、ボール、スタッフ、(出す場合の)賞金・賞品、大会でコートがふさがることなどの負担は、参加者が減っても同じようには減らない。大会に頼りすぎたクラブは、参加者が減ると経営が苦しくなる
  • 大会が続くと、仲間と気軽に楽しむ予約枠が減り、パデルの親しみやすさが薄れる

一方で筆者は、大会がパデル人気を支えてきたことも認めています。大会によっては、同じくらいの時間をプレーするのに通常のコート予約より安く済み、自分で相手を探さずに何人もの相手と試合ができることも、プレーヤーが大会を選ぶ理由だと説明しています。

筆者の提案

筆者は、FFTと地域リーグがまとめて調整する必要があるとして、次の案を挙げています。

  • コート数や地域のプレーヤー数に応じて、クラブ・地域ごとの大会数に上限を設ける
  • 毎日のように大会がある状態を避け、自由にプレーする時間を残す
  • 隣り合う地域リーグの間で、P500とP1000の日程をもっと調整する
  • 男子のP1000を全国で週2大会ほどに減らし、地域の配分を見直す(筆者自身、これは議論のための提案で、科学的に決めた数字ではないとしています)

こうした案を1シーズン試し、参加率や大会のレベル、クラブの経営への影響を確かめることも提案しています。筆者は、大会を減らすこと自体が目的ではなく、「もっとよく配置され、もっと参加者が集まる大会」を目指すべきだとまとめています。

日本のパデルにとって

ここからはPADEL SPOT編集部の見方です。大会が増えすぎたときに何が起こり得るのか、パデルが盛んなフランスの議論を知っておくと、大会の選び方や開き方を考えるヒントになりそうです。