何が逆転したの?(連盟に登録した選手の数)

逆転したのは、各競技の連盟に登録している選手(イタリア語で「テッセラーティ」)の数です。CONIが国内の競技連盟を対象にまとめた調査で、2024年の登録選手数はFITPが1位、FIGCが2位になりました。FITPの公式サイトは、イタリアの経済紙イル・ソーレ・24オーレの記事を引用する形で、上位5競技の数字を紹介しています(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。

順位 競技連盟 登録選手数(2024年) 全体に占める割合
1テニス・パデル(FITP)1,162,477人20.2%
2サッカー(FIGC)1,123,054人19.5%
3バレーボール359,797人未確認
4バスケットボール320,769人未確認
5陸上競技292,599人未確認

イタリア全体の登録選手は6,069,891人で、2023年から7.7%増えました。登録選手の合計が増えるのは3年連続で、過去最多です(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。イタリアの大手紙コリエーレ・デラ・セラは、この人数が3歳以上の人口の10.5%にあたると伝えています(Corriere della Sera)。

FITPは、2025年の登録選手が125万4,153人まで増えたことも明らかにしています。ただし、FIGCの2025年の数字はこの報道では示されておらず、2025年も上回っているかは確認できていません(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。

「サッカーより人気」と言い切れる?(数字の読み方)

言い切ることはできません。数字を読むときに、気をつけたい点が2つあります。

1つ目は、FITPの数字がテニスとパデルを合わせたものだという点です。今回確認した記事には、パデルだけの登録選手数は載っていませんでした。パデル単独でサッカーを上回ったわけではありません(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式、Corriere della Sera)。

2つ目は、登録の意味が競技によって違う点です。コリエーレ・デラ・セラは、FITPに加盟するクラブでは、年に1試合だけ大会に出る人でも登録がほぼ必須になると指摘しています。一方、FIGCに登録する人は、ほとんどがリーグ戦に所属して続けてプレーしている人です。そのため同紙は、この数字はテニスとパデルの盛り上がりをよく表しているものの「すべてを語ってはいない」と書いています(Corriere della Sera)。

FITPが紹介したイル・ソーレ・24オーレの記事も、サッカーは今もファンの数と伝統の面でイタリアの第1のスポーツだと結んでいます。そのうえで、連盟の登録者数で1位が入れ替わったことを「サッカーの独占がなくなった」しるしだと評価しています(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。

どれくらいのペースで増えてきた?

FITPの登録選手は、この20年あまりで大きく増えました。FITPの公式サイトによると、現在のアンジェロ・ビナーギ会長が就任した2001年の登録者は13万人でした(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。コリエーレ・デラ・セラによると、2014年の登録者は29万人で、そこから10年で大きく伸びています(Corriere della Sera)。

年 FITPの登録選手数 出典
2001年約13万人FITP公式(イル・ソーレ・24オーレの記事を引用)
2014年約29万人コリエーレ・デラ・セラ
2024年1,162,477人CONIの調査(FITP公式・コリエーレ・デラ・セラ)
2025年1,254,153人FITP公式

増えた理由について、イタリアの通信社アドンクロノスは、ヤニク・シナー選手らテニス選手の活躍で関心が高まったことに加え、クラブやスクールが「見るファン」を「プレーする人」に変える受け皿になったと分析しています(Adnkronos)。FITPの公式サイトによると、加盟クラブは4,000を超え、テニスとパデルのスクールは2,500以上、指導者は1万4,000人、審判などの大会役員は1万人に達しました(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。

パデルのコートはどれだけある?

アドンクロノスは、FITPの数字として、2025年の加盟クラブが4,185(2020年は3,168)で、テニスコート9,424面とパデルコート5,321面があると伝えています(Adnkronos)。

同じ記事では、2026年のイタリアのパデルコートは10,220面で、3,795のクラブにあるとも書かれています。こちらは集計した団体が記事に示されていません。FITP加盟クラブの数字とは数えている対象が違う可能性があるため、分けて紹介します(Adnkronos)。

アドンクロノスは、パデルが伸びた理由を「人と一緒に楽しめること」にあると説明しています。4人でプレーし、比較的覚えやすく、初心者でも数試合で楽しめること。友人や同僚、家族と1時間半のコートを予約して集まる形が、仕事や家庭と両立しやすいことです。また、パデルはテニスに取って代わったのではなく、テニスクラブに新しい利用者を呼び込む形で一緒に広がったと伝えています(Adnkronos)。

お金の面ではどう変わった?

連盟の収入でも、FITPはFIGCを上回りました。FITPが紹介したイル・ソーレ・24オーレの記事によると、収入の70%以上は国際大会の開催によるもので、その多くをクラブへの支援や指導者の育成に回しています(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式)。

年 FITPの収入 FIGCの収入
2024年2億900万ユーロ2億2,400万ユーロ
2025年2億4,000万ユーロ超2億1,400万ユーロ
2026年(見込み)2億8,000万ユーロ超未確認

2025年にFIGCの収入が下がった理由として、記事は大きな国際大会がなかったことを挙げています。FITPは、テニスとパデルをする人が全体で約650万人いると推計し、経済効果は87億ユーロを超えると見積もっています。どちらもFITP自身の推計です(イタリア・テニス・パデル連盟(FITP)公式、Adnkronos)。

日本のパデルファンにとっての意味は?

イタリアの例で印象に残るのは、パデルがテニスクラブの中で育ち、テニスと一緒に数字を伸ばしてきたことです。英国でも競技人口やコートの数が少しずつ公表されるようになり、PADEL SPOTでは英国の競技人口の記事や英国のコート数の記事で紹介してきました。日本ではまだこうした全国の数字はそろっていませんが、身近なコートが増えていけば、イタリアのように「やってみる人」が増える流れも期待できます。

出典